Densys On-line Magazineは、製品やシステムソリューションだけでなく、当社の情報などをご紹介する、電子システムのオウンドメディアです。
その都度、掲載する情報を更新しますので、気になる内容がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

同時通訳システムも備えた300人規模の大教室と中小規模教室の視聴覚システム

国際基督教大学(ICU)様では、2016年に「ICUキャンパスグランドデザイン」を策定し、2019年に計画を改定。その計画のメインとなる「トロイヤー記念アーツ・サイエンス館」の視聴覚システムを整備させていただきました。

雛壇形式で300人収容できるトロイヤー記念アーツ・サイエンス館の大教室。
ガラス面には開閉式のスクリーンが設置されており、教室内を暗くすることもできる。

オンラインと対面授業の両方に対応した教室と、クリアで聞きやすい音響設備が必要だった

発端は、2016年の「ICUキャンパスグランドデザイン」です。老朽化した本館をどうするか検討する中で、2019年の計画改訂で「トロイヤー記念アーツ・サイエンス館」(アーツ・サイエンス館)を建てることになりました。
ところが、2020年から拡大した新型コロナの影響により、オンライン授業や学生がPCを持参するBYODといった、従来とは異なる環境の変化に対応する必要も出てきました。
新型コロナが落ち着き始めた頃には、学生の半数が登校し、教室の収容人数の半分が埋まるようになってくると、ハイブリッド授業で注意すべき点も出てきました。
例えば、授業でオンラインカメラを使用する際に教員を映すのか学生を映すのか、資料の共有をどうするのか、対面と配信の両方でクリアに聞こえるマイクとスピーカーをどうするのかといったことです。
また、既にマイクとスピーカーなどの機材を導入した小規模教室ではあまり問題になりませんでしたが、中規模教室では声が聞こえにくい、雑音が入りやすいといった問題も出ていました。
一方で、大学としてはこれまで300人規模の大規模教室がありませんでした。学生会館のディッフェンドルファー記念館には大人数が収容できる講堂があり、大学のオリエンテーションや就職相談などで使用していました。ただ、基本的に学生の使用が中心となるので、大学の予定を入れるのが難しい状況だったことからも、大規模教室が必要だと考えていました。
このような背景から、2021年~2022年にかけてアーツ・サイエンス館の詳細を詰める際に、ハイブリッド授業に対応したシステムの導入を検討しました。

どの教室でも教員が操作しやすいシステムの構築を行い、導入後もスピーティに運用面のサポートを行った

アーツ・サイエンス館の大規模教室と中規模教室に設置されている操作卓には、同じ仕様のタッチパネルを設置しており、どの教室でも同じように操作できます。新しい教室を使い始めた当初は、操作に戸惑う教員から問い合わせがありました。1~2週間も経つと問い合わせが減り、慣れてくると使いやすいという声も上がりました。
機材のハード的な故障はありましたが、何かあった場合でも電子システムさんがすぐに対応いただいているので、大きなトラブルもありません。新しいシステムを導入したにも関わらず、これまでと同じように使えています。
 
300人収容の大規模教室の特徴
映像機器は、教室正面に150インチの電動昇降スクリーン3面、10,000ルーメンのレーザー方式プロジェクター3台、教室の中程に65インチディスプイレイ6台を設置しています。教室の前方と後方にはAI搭載オートトラッキングカメラ各1台を設置、ジョイスティックコントローラーで操作可能です。
音響機材は、どの距離でも均一に聞こえるJ字型のコラムスピーカー2台、1.9GHz帯のデジタルワイヤレスマイクはハンド型4本、タイピン型2本を設置しています。
教壇付近に、これらの機器をコントロールする操作卓を設置しています。操作パネルは10インチのタッチパネルで、テキストの表示は日本語か英語かを選択することが可能です。
また、この教室のみ同時通訳システムも整備しています。

大規模教室のシステムイメージ図
機器を操作卓からコントロールでき、対面だけでなくハイブリット授業にも対応している。

教壇脇の操作卓。右のタッチパネルは日英の選択が可能。下部にはデジタルマルチスイッチャーなどを収納している。

大規模教室の後方には同時通訳システムを備えた部屋を設けている。

180人収容の中規模教室の特徴
教室の広さに合わせて、スクリーンを120インチに、プロジェクターを7,300ルーメンに変更しています。ディスプレイは設置していませんが、それ以外は基本的に大規模教室と同じ仕様となっており、操作卓もほぼ同じです。
 
セミナールーム及び小会議室の特徴
少人数での使用を想定しているので、大掛かりな設備ではなく、75インチディスプレイとカメラ・マイク・スピーカ一が一体となった機器を設置してします。教員がPCを接続して使用しています。
中嶋さんは最後に「新型コロナ対策でデジタル化が促進されました。今後も、教員・学生の学修活動にとってよい効果を得るために何ができるか検討してまいります。電子システムさんには、通常の運用支援を行いつつ、積極的に新しいご提案をいただけたらと思います」と語ってくださいました。

中規模教室では、左右のプロジェクターの表示倍率を縮小し映像を上に映すことで、後方の学生も見えるようにしている。

セミナールーム及び小会議室のディスプレイ上部には横長のカメラ・マイク・スピーカ一の一体型機器を設置している。

ユーザーの声

近年では高大接続という考え方があり、本学もいくつかの高校と連携しています。その授業の最終発表でアーツ・サイエンス館のシステムを使うようになりました。
また、ICU敷地内の高校では、卒業生の半数が本学に進学するため、高校入学の際に大学の設備を見てもらいたいという思いもあります。
より本学を身近に感じてもらうように、大学だけでなく高校の授業や説明会でも導入したシステムが役立っています。

左:中嶋晃之様(国際基督教大学ITセンター)
右:平口夏帆様(同センター)

導入のポイント

  • 大教室のどの席でもクリアに視聴できる設備
  • 大・中規模教室で同じように操作できるタッチパネル
  • 柔軟でスピーディに対応できるサポート体制

 


導入先データ(取材当時)

  • 名称:国際基督教大学
  • 住所:東京都三鷹市大沢 3-10-2
    学長:岩切正一郎
  • 学生数:2,976人
  • 学部:教養学部アーツ・サイエンス学科
  • URL:https://www.tufs.ac.jp