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学生参加型授業を後押しするハイフレックス環境の設備

コロナ禍をきっかけにオンライン授業が急速に普及した一方、対面授業が持つ臨場感や双方向のコミュニケーションは教育の重要な要素です。東京外国語大学様では、これら双方の強みを融合した「ハイフレックス型授業」の実現に向け、ICT環境の大幅な整備を行いました。

今回の導入で、学内全ての中・大講義室、計12教室にハイフレックスシステムを導入した。その内、扇形の大講義室(上写真)には、プロジェクターが2台設置されており、それぞれ別の映像を投影できる。

ハイフレックスシステムの導入により充実した環境とスムーズな授業運営を実現

東京外国語大学様では、2024年度の文部科学省概算要求(基盤的設備等整備分)で「ハイフレックス型授業設備整備一式」が認められたことを契機に、大講義室や中講義室を対象としたAVシステムの刷新が進められました。大学間の同時双方向型遠隔授業を可能にするシステム整備は、以下の3点を主な目的としています。

  • 大学間での共同教養教育の推進
  • 海外大学との連携教育の充実
  • 海外の高校・大学との連携による優秀な留学生の受け入れ促進

 
また、第4期中期計画に掲げる「デジタル化時代の教育改革」と「国際感覚をもった人材の養成」を具現化するため、ハイフレックス環境は不可欠な基盤となりました。
導入前は、ハイフレックス授業に必要な設備や操作方法が教室ごとに異なり、「予習」なしでは現場での支援が難しい状況でした。多くの教室には専用設備がなく、カメラやマイクをセットしたまま移動できるテレプレゼンスモバイル・システム(TMS)により対応がなされましたが、中・大講義室は広さゆえにポータブルな機器では映像や音声の品質に限界がありました。また、従来の教室はケーブル類が多く、10分休みでは片付けが間に合わず、アナログ設備ゆえのノイズも課題でした。
導入後、教員からは「授業準備の負担が減った」「ケーブルの片付けが不要で効率的になった」と好評を得ています。特に外部からのゲスト講師や学会利用時には、「他大学よりもシステムが整っており、サポートが手厚い」と高い評価を受けました。
音声や映像の調整など細部のチューニングは今後も必要ですが、ハイフレックス対応、冗長化、ワイヤレス化、TMS機能の継承を全て満たしたシステムを構築できました。

大講義室のハイフレックス環境は、従来の機材と新たに導入した映像や音響機器を組み合わせて柔軟に対応できるシステムとなっている。

大講義室に設置した2台の高輝度プロジェクター。

タッチパネルで授業形態を選ぶと最適な設定でシステムが起動する。

学生が主体的に授業に参加する新しいスタイルの授業に挑戦できるシステムを整備

大学におけるハイフレックス型授業設備の全面刷新により、大講義室と中講義室で同一のオペレーションが可能となったことで、教育情報化支援室のサポート業務が大幅に効率化されました。また、各講義室ではUIを統合したタッチパネルを設置。起動時に授業形態を選択すると、必要な機器が起動し、最適な設定でシステムが立ち上がります。途中で授業形態を変更することも可能です。また、英語版UIも備えており、海外出身の教員にも利用しやすい環境を実現しています。
PC等の接続ケーブルをワイヤレス化することにより、ケーブルが散乱する問題が解消され、教室の美観が向上するとともに、ケーブルの断線いったトラブルも激減しました。
カメラ映像は冗長化設計により、LAN経由とUSB経由の二重システムで映像取得ができるようにしたことで、どちらかに障害が発生しても授業を継続できます。さらに、カメラオートメーション機能により発言者の自動追尾が実現し、オンライン参加者にとっても臨場感のある授業体験が提供されています。
また、学生参加型の授業が実現できるよう、CynapとPressIT、複数本のマイクを導入しています。発表活動やグループワークなど、学生の積極的な参加と主体性を引き出す教室ICT環境を整えました。
青山様と川澄様は最後に「新しい授業スタイルへの挑戦を後押しできるようなシステムが整備できました。これから色々な挑戦をしたいと思います」と語ってくださいました。

AV機材が収納されたラックには、PressITの収納場所をイラストで視認できる工夫がされている。

AIで人物を自動追尾するリモートカメラ。

音声をマルチゾーンで収音するシーリングアレイマイク。

中講義室は、8部屋にハイフレックスシステムを導入。

ユーザーの声

今後の課題は、教室ごとの「聞こえ具合」を統一する仕組みを整えることです。本学では先生方の独自音声教材も多く、市販基準では音量不足になりがちです。現場に即した音源・計測方法でのシステマチックな運用が必要です。
また、カメラオートメーションはさらなる発展の余地があり、カメラ制御プログラムの改良を進めるとともに、AIを活用した人間のオペレーションに近いカメラワークの実現など、最先端技術への挑戦を行って行きたいと思います。

右:青山 亨様(東京外国語大学 副学長)
左:川澄 領様(同学 世界言語社会教育センター助手)

導入のポイント

  • 学生参加型授業を実現するハイフレックス環境の整備
  • 煩雑なケーブルを解消するワイヤレス化
  • 従来の環境を踏襲しシンプルに使えるシステム

 


導入先データ(取材当時)

  • 名称:東京外国語大学
  • 住所:東京都府中市朝日町3-11-1(府中キャンパス)
  • 学長:春名 展生
  • URL:https://www.tufs.ac.jp/

愛知大学(豊橋キャンパス)様
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東京外国語大学様
学生参加型授業を後押しするハイフレックス環境の設備
東海国立大学機構様
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東洋大学様
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愛知大学様
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主な納入実績
教育機関・官公庁・自治体・企業・その他